ピックアップライフスタイル

街で物乞いを見かけたとき、あなたはどう向き合いますか。

スペインで語学留学をしていた日のこと。

僕が滞在していた学生シェアアパートの前には、いつも同じ人がダンボールに書いたメッセージを立てかけて物乞いをしていました。

留学当初はメッセージの意味はわかりませんし、スペインの物乞い事情も知らず、僕はただ冷たく通り過ぎていました。

しかしスペイン語を数週間学んだある日、僕はふと、物乞いのメッセージの意味が理解できるようになっていたことに気づいたのです。

そこには「ガンを持っていて、手術にお金がかかります。助けてください」と書いてありました。

そのメッセージの言葉を理解して初めて、その人の顔をしっかりと見ました。
僕は3ユーロの小銭を財布から取り出して、その方の目の前に置かれたコップの中に入れました。

小さな声で「グラシアス(ありがとう)」と聞こえました。

その後も、彼は毎日その場所に座っていました。
僕はそれ以降、お金をあげることはありませんでしたが、いつも僕を見かけると会釈をしてくれます。

彼にとって僕は単なる通行人ではなくなったし、僕にとっての彼も単なる路上に座っている人ではなくなりました。

僕は少しだけ彼と人間的なつながりを持てた気がしたのです。

日本は恵まれた国

僕はこれまで途上国を中心に、30カ国ほどの国を訪れてきました。
どの国を訪ねても「日本は本当に恵まれているな」と、いつも感じます。

特に僕が気になってしまうのは、路上生活者・物乞いの多さです。
日本では、そもそも路上生活者の数も少ないですし、人通の多い場所にホームレスが居座る隙はあまりありません。

しかし海外では、日々の生活の中で嫌でも物乞いと出会う機会があるのです。

実体験として、裸足でボロボロの服を着たストリートチルドレンが、数100mも自分についてきたこともあります。
戦争の影響なのか先天的な障がいなのか、手足を損失した人を見かけることも多々あります。
トルコではシリアからの難民に声をかけられましたし、スリランカでは立ち上がれないほどに弱った人も見かけました。
ヨーロッパのような先進国でさえ、マクドナルドの店内に物乞いが入ってきて、1つ1つの席を回って支援を懇願してくることもあります。

これらの出来事を街の中心部で体感するのです。日本人には少々信じがたい光景です。

日本は世界各国の中でも失業率が低く、社会保障制度も比較的整っている国です。
だからこそ、日本を一歩飛び出すと、世界の貧困や物乞いの現状を見せつけられることになります。

物乞いへの対処

物乞いに出会った時の対応は人それぞれです。

毎回お金をあげる人もいれば、毎回通り過ぎる人もいるでしょう。
自分なりに、子供ならあげるとか、芸をしてくれたらあげるとか、ルールを決めている人もいるかもしれません。

どちらにせよ言えることは、あなたがお金をあげたことで、何か問題が解決するわけではないということです。

あなたの寄付で貧困が解決することはありませんし、その日から物乞いをする必要がなくなるわけではないでしょう。

むしろ、収入が物乞いに依存してしまったり、子供を物乞いをさせて親が回収するケースがあったりと、お金をあげるデメリットも存在します。

僕は初めて訪れた海外の国は、フィリピンでした。
当時学生で何もわからなかった僕は、ストリートチルドレンの子供にいくらかお金をあげていました。

すると彼らは感謝することもなく、「少ない!もっと!」と言い、断るとそっぽを向いて遠くへ走り去ってしまったのです。

僕はその時、そもそも「お金をあげることも自己満足だな」と実感して、以降物乞いにお金を渡すことは無くなりました。

あなたが嫌な気持ちにならないように、淡々と選択をしていけばいいのです。

見ないふりをしてはいけない

ただ1つ、物乞いが大勢いる現実を、見ないふりをしてはいけません。
冒頭の通り、僕はスペインの物乞いの男性にお金を渡しました。
毎日僕が通る道に居座る彼を、毎日見ないふりをして通り過ぎることはできなかったのです。
結果的にお金を渡すことを通して、彼の顔をしっかり見ることができたし、少しだけ人間としての繋がりを感じることもできました。

物乞いの存在を1つの社会問題として捉えられるだけでも、あなたの優しさや共感力は磨かれます。

海外を長く旅している人の多くは、謙虚で穏やかな人が多いです。

広い世界の良い面・悪い面を知ることで、自分にできることと限界を見極めたからこそ、地面に根を張って立つ人になれるのかもしれません。
そういった人が増えていくだけでも、世界は良い方向に向かうのではないでしょうか。

直接的に関わることがなくとも、一人一人にだってできることはいくらでもあります。
僕自身、回り回って力の弱い人の力にもなれるよう、日々精進していきます。
あなたはこの問題をどう捉えるでしょうか?

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テツヤマモト