インターネットを使って北海道でどこまでやれるかチャレンジしたい クリプトン・フューチャー・メディア 伊藤 博之 代表

初音ミクなどのバーチャル・シンガー・ソフトウェアで一躍有名となった会社が北海道にあります。 その会社の社長はもともとは公務員試験を受け、社会人として働きながら大学に通っていたそうです。 なぜお仕事を辞めて北海道で起業しようと思ったのかインタビューをしました。

 

北海道出身とのことですが、なぜ人やサービスがたくさんある東京ではなく北海道でお仕事をされているのですか。東京に対する憧れはなかったのですか。

「北海道で仕事をしている理由は、北海道に住んでいるからです。東京やどこかに行かないとできない仕事ではないと思っています。 会社を作った年が1995年なんですが、その時代って、まだインターネットが一般の家庭に普及する前なんです。インターネットを使うと自分が北海道にいながら世界とつながることができて、ビジネスとかできるはずだから最初からインターネット中心に事業を組み立てていこうと決めまして。東京に行かずにインターネットを使ってどこまでやれるかチャレンジしたくて北海道にいます。」

 

高校の時期にバンド活動を行っていたとのことですが、その経験が今のお仕事に活きていると思う点は何かありますか。

「音楽や音とかが趣味なので、今も仕事じゃなくて半分趣味みたいなものですね。バンドの時はベースをやっていました。一番地味な楽器ですね(笑)ソフトの音に関してバランスは心がけています。」

 

子供のころの夢はなにかありましたか。

「ミュージシャンになりたいと一時期思っていたこともあります。小説家になりたいな、かっこいいしとかもありましたね。ものを作ることが好きだったので、ものづくりにとても関心がありましたね。」

 

 

ジャンルにはこだわらず何かを作りたいと思っていたのですか。

「やっぱり音楽が好きでしたね。音楽に関することだとミュージシャンで、ものづくりに関することだと喫茶店の店主になりたかったです。 現在カフェもやっているから、両方ともやっているといえばやっているんですけどね。 自由なことをやりたいというのが昔からありました。」

 

インターネットに触れたのは大学の職員として勤めていた時とのことですが、大学職員としてインターネットに触れていなければ、今の仕事に携わることはなかったのでしょうか。

「大学職員として勤めていたことは、今の仕事に携わる大きなきっかけではあったと思うんですけど、その前から、中学生とか高校生のころからコンピューターに対する関心や憧れは強かったので、もしかしたら大学職員じゃなかったとしても、コンピューターに携わる仕事をしていたかもしれませんね。」

 

前職であった大学職員を辞めて、起業することはとても勇気がいることのように感じますが、その行動力はどこで培われたのでしょうか。

「昔からなんとなく自由に生きたいという憧れはあったんですよね。喫茶店のマスターっていいなとか。そう思いながら、コンピューターがたくさんある職場で、当時としては珍しくパソコンがたくさん並んでいて使い放題の環境に働き始めました。それでコンピューターを使って、プログラミングも独学で勉強してできるようになりました。すると趣味でやっていた音楽とコンピューターを融合して、コンピューターミュージックを作り出せるんですよね。自分で演奏しなくてもコンピューターに演奏させて曲を作ることができます。同時に職場で英語を使う機会が多く猛勉強をしました。そうすると、その知識を活用したいと思うようになるんですね。当時海外のコンピューターミュージックの雑誌をたくさん読んでいたのですが、その雑誌には個人でも出せる三行広告がありました。そこに出稿すると自分で作った音が売れるなと。そういう小さな行動が会社を作るきっかけにはなって行きました。三行広告には、返事がお手紙で届くんですけど、月に10から20通くらいは来ていましたね。」

 

マカラボを読んでいる方や学生に対して、何かアドバイスやメッセージをお願いします。

自分は、興味があることにはたくさん調べたり、まずはチャレンジしていました。ビデオデッキを2台繋いで映像編集をしてみたり、自転車をペイントしてみたり、とか。学生にしかできないことがあると思うんですよね。比較的時間も融通が利く中でしかできないことにチャレンジしないともったいない。それを理解できているか、できていないかでこれからの人生が変わってくると思います。
ただ漫然と過ごすのではなく、「こういうことがしたい」と目標を見つけられると、その近くに自分が行けるようになるじゃないですか。漫然としていたら漫然となってしまうので、まず動く。面白いことにどんどんチャレンジしていったらどうでしょうか。

 

今後の目標を教えてください。

「音楽技術、テクノロジーの開発をしている会社なので。音楽って人類の共通言語だと思っているんですね。言葉は文法が分からないと伝わらないですが、音楽は前提がなくても楽しいや悲しいが伝わりますよね。音楽技術に関して初音ミクも一つのアウトプットですが、音楽技術を研究開発することは、世界のいろんな人たちに喜んでもらうための取り組みだと思っているので、日本だけじゃなく世界中の人たちに音楽という芸術をたくさん楽しんでいただけるようにしていきたいなと思います。」

 

-就カフェ × マカラボ インターンシップ

今回マカラボのインターンシップに参加した理由は、二つあります。 一つ目は、「普通だと会えない人とインタビューを通じて会うことができる!」と魅力を感じたことです。 二つ目は、アポを取ってインタビューを行うこと自体は大学のゼミ活動で経験をしていましたが、それがなかなか上手くできなかったので「リベンジしたい!」と考えたからです。 クリプトンフューチャーメディアの伊藤さんに取材をしようと思った理由は、私と同じ北海道出身でずっと北海道にいて北海道で起業をされていることに興味を持ったこと、個人クリエイターに対する非営利であれば合法的な利用を認めていて、珍しいなと思ったからです。 実際にインタビューをしてみて、「北海道でチャレンジしたかった」と自分のバネにしておられて凄いなと感じましたし、首都圏と離れているからといって行動をためらったり、自分の可能性を狭くする必要はないのだなと気が付きました。 また、インタビューをした中で個人的に一番印象に残ったのは、「音楽は人類の共通言語」という言葉です。私事ではありますが、私も音楽に関わっていて、音楽は文法といった前提がなくても、悲しいや楽しいが伝わるということにとても納得しました。 経営者としてだけではなく、ものをつくる人としての考え方も持っておられるのだなと感じました。

筆者:品川 未早

撮影:イシミス マサ