技術と芸術で医療の現場で勝負する「歯科技工士」という仕事 ~Part2~

歯科技工士として活躍している人に話を聞く

 

歯科技工士という職業に迫る、Part2です。前回のPart1では、歯科技工士の技術を間近に体感すべく、患者となって実際にその仕事ぶりを拝見しました。今回はさらに詳しく知るために、現在歯科技工士として活躍している方々に、気になるあれやこれやを聞いてみましょう。なぜこの職業を目指したのか、仕事をしていて楽しいと思うことは何なのか……などなど、歯科技工士を目指している人も、将来の自分を模索している人も、ぜひ参考にしてみてください。 まずは、歯科技工士の仕事現場に潜入します!

お邪魔したのは、大阪の本社を起点に全国展開している「和田精密歯研株式会社」です。北海道内では札幌、帯広、函館にそれぞれ拠点を構えており、今回は札幌市東区にある「札幌事業所」に取材協力していただきました。 ちなみに和田精密歯研では「OJT(On the Job Training)」つまり「仕事をしながら学んでいく」企業内教育が充実していて、入社後は先輩が「OJTトレーナー」となってマンツーマンで新入社員を指導しています。さらには「スーパーテクニシャン」という独自の称号を作り、厳しい実技や筆記試験をクリアした優れた歯科技工士に与えています。歯科技工士として、さらに高みを目指そうという志が、自然と育まれるというわけです。

 

▼和田精密歯研株式会社札幌事業所

(写真提供:和田精密歯研株式会社)

 

 

そんな環境で働く、2人の歯科技工士にお話を伺いました。 まずは技工士歴8年目、チーフテクニシャン歴3年目の坂口道也さんです。

▼技工物を製作をする坂口さん

(写真提供:和田精密歯研株式会社)

 

もともと医療系を目指していて、手先を動かすのも好きだったという坂口さん。

「母が勧めてくれて、自分でも調べてみたところ、楽しそうな職業だなぁと思って歯科技工士を目指しました。国家資格の試験自体は、難しいとは思いませんでした。しっかり学校に通って学んでいれば、大丈夫!」

実際に技工士になって、日々のやりがいはどんなところに感じるのでしょうか。

「やはり直接患者さんにお目にかかって、ありがとうと言われた時は最高です!それに、どんどんデジタル化が進む現代ですが、デジタルじゃ再現できない手作業の温かみというのは、絶対に変わらないと思うんです。そういう意味でも、これからはもっと重要になってくる仕事なんじゃないでしょうか」

そして、目指すのはやはりスーパーテクニシャンの称号なのだとか。

「もともと和田精密歯研に入社したのも、OJTやスーパーテクニシャンといった社内制度に魅力を感じたからなんです。でもスーパーテクニシャンはゴールではなくスタートラインだと捉えているので、まずはそのスタートラインに立つことが目標ですね」

目を輝かせて技工士としての夢を語ってくれた坂口さん。坂口さんが「スタートライン」だと言うスーパーテクニシャンという称号は、818名もの歯科技工士が在籍する和田精密歯研の中でも、わずか40名にしか与えられていない狭き門なのです。

 

次にお話を伺ったのは、その40名のうちのひとり。技工士歴17年、スーパーテクニシャン歴5年の北島馨さんです。

 

▼パソコンで補綴物の形を形成する北島さん

(写真提供:和田精密歯研株式会社)

 

歯科技工士を目指したきっかけから教えてもらいましょう。

「中学生の頃、矯正治療をしていました。矯正が終わった後、歯の後戻りを防ぐリテーナーという装置を口腔内に入れた際、ピッタリと収まったことに感動したんです。それで歯科技工士という存在を知り、興味を持ったことがきっかけになりました」

実際に技工士となり、現在はクラウン部門で高い技術を誇り、スーパーテクニシャンとしての称号も手に入れた北島さん。

「クラウン部門を希望したのは、審美的なセラミックの歯を作れるようになりたいと思ったからです。ただ、違う部署にいてもスーパーテクニシャンを目指していたはず。技工士は、ここまでの技術があればそれでいい、ということはありません。常に勉強や向上心が必要な職業なので、どの部署にいても今と同じように技術の追求をしていたと思いますね」

さらに北島さんは、技工士の現状とこれからについても語ってくれました。

「歯科業界も、CAD/CAMや3Dプリンター、AIの技術が入ってきています。仕事の効率や品質の安定には確かに有効ですが、従来のアナログ作業をすべてデジタルに転換することは難しいと考えています。適合や噛み合わせの最終調整は、人の手でしかできませんから。人の目、人の手というのはこれからも必要で、アナログとデジタルが共存して仕事が成り立つようになっていくのではないでしょうか」

最後に、歯科技工士を目指す人にメッセージをいただきました。

「歯科技工士の仕事は、決して派手な仕事ではありません。しかし、人の口に入る大切な人工臓器を作る仕事です。やりがいや責任も感じられ、大きな達成感を味わえる仕事だと思っています」

 

▼チーフテクニシャンの坂口さん(左)とスーパーテクニシャンの北島さん

 

2人の歯科技工士に共通して感じられたのは、向上心を保ち続けていること。そして、まさに職人というべき、技術への探究心。「手に職をつけたい」「ずっと夢中で、やりがいを感じられる仕事がしたい」と思っている人は、歯科技工士という道も選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょう。

 

和田精密歯研株式会社 札幌事業所
所在地:〒007-0845 札幌市東区北45条東16丁目1番18号
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