
「私の強みはコミュニケーション力があることです!」
採用活動をしているとよく聞く言葉。
本当にコミュニケーション力がある人は自分でこのようなアピールはしないんだろうなと思います。
僕は自身で就活支援サークルの主宰をしていますが、ここ数年思うこととして、自分で「自分のことがよくわからない」人が年々増えているように感じます。
今回は就活でも社会に出てもずっと探し続ける「自分らしさ」とは何なのかについて考えてみましょう。
「自己紹介」は成果をも左右する
社会に出ると、自己紹介をする場面が頻繁にあり、そこから雑談に繋がってアイスブレイクとなります。アイスブレイクとは初対面の人同士が出会うとき、その緊張を解きほぐすための手法です。
雑談である程度お互いの人柄がわかり、打ち解けてから本題に入るわけですが、この時点でどれくらい場の空気感があたたまっているかどうかで、本題での成果も大きく変わります。
つまり、自己紹介が魅力的・キャッチーであるかどうかは就活に限らず、社会に出ても大切だということです。
そう考えると就職活動は言わば自己紹介デビューの場面と言えるのですが、面接官をしていて「残念だなぁ」と思う人が多いのが実情です。
残念になってしまっている理由は主に3つ。
A.テンプレート(誤った就活常識)を鵜呑み
B.「自分の評価」への本質的な理解不足
C.「他人から見た自分」のデザイン不足
採用時(特に新卒)に企業が見ていることは中期経営計画やビジョンに基づいた「採用したい人物像」と応募者とのマッチング。
ここで言う、採用したい人物像とは「自分が思う自分」ではなく、あくまで「他人から見た自分」です。
評価は自分がするものにあらず
自分がいくら自分のことを真面目だと思っていても、他人(面接官)からそう見えなければ何の意味もありません。
良くある例としては、身長190センチの男性が見た目だけで体育会系(バスケ・バレーなどの経験者)に見られ、でも実際は文化系だったりとか。
そう、評価とは自分が自分にするのではなく、あくまで他人にされるものなのです。
実際、社会に出ると上司・同僚・お客様など、不特定多数の他人に評価される場面が多くなります。
その、評価されている自分=他人から見た自分こそが「社会における自分自身」であることを認識し、それをうまく利用できるかどうかが重要です。
ただ、正直この事象について、僕は決して良いとは思っていません。
その人の本質的な評価は見た目だけではなく、ひとりひとりの個性や内面にしっかり話して向き合うのが本来あるべき姿だと考えているからです。
しかし、それが社会における現実であることは受け止めなくてはなりません。
「自分らしさ」を魅力的に伝えるコツとは
就活でも社会人でも、自分のどこを切り取り、どう見せるのか、それをいかにデザインできるかが自己紹介のキモだといえます。
ただし、ないものは切り取れないのでウソはだめですよ。
・「私の強みはコミュニケーション力があることです!」
⇒コミュ力がないことを表明しているのと同じ。
・「私の強みはリーダーシップがあることです!」
⇒リーダーシップがあるかどうかは、あなたと接した周囲が決めること。
人事をしていると、「私の強みは……」という出だしで始まるテンプレ自己PRを話す人が本当に多いと感じます。
このテンプレには実は「致命的な欠点」があるんです。
それは「先入観という枠」を相手にはめることになり、あなたの話から相手が自由にあなたらしさを感じ取る機会を奪ってしまうということ。
エピソードを通じて、リーダーシップ以外にも相手が感じるものがあるかもしれないのに、リーダーシップがあるか・ないかの2択に集中してしまうことに繋がり、自身の可能性を狭めてしまうということです。
中にはエピソードの内容がズレていて全く強みが表現出来てない人もいたりします。
人の心を揺さぶるのは、
「事実よりも、ストーリー」です。
自分らしさが伝わるエピソードを、情感を込めて話し、相手に自由に感じ取ってもらう。
そのために自分の人生を振り返り、自分らしさが伝わる「キラーエピソード」をみつけ、自己紹介として昇華させることが大切ですね。
自分らしさのデザインは「経験」と「他己評価」を材料にすることがポイントです。
まずは自分の「経験」を棚卸しし、「見られている自分」を知るために、積極的に他人と交流してみることから始めてみてはいかがでしょうか。