
日本独特の雇用制度慣習といえば「終身雇用制度」。
しかし今、実力主義の台頭、年功序列型給与体系の撤廃など、かつてのように名の知れた会社にさえ入れれば安心という時代は終わりを迎えました。
今回はこれから就活に向かう皆さんに、未来に訪れる現実を知っていますか、という視点でまとめたシリーズの後編です。
前編ではその背景、終身雇用の崩壊、自分たちが実際にもらえる年金額の少なさなどをお伝えしましたが、ではそれを理解した上でどのように就活に向き合うべきなのか。人事の目線でお伝えします。
「大手=安定」ではない
終身雇用制度が崩壊し、年金も満足にはもらえない。
これが今の20代・30代全員に平等に訪れる現実です。
そうなることがわかっていて、これから就職活動をするとしたら、あなたは何を軸に就職先を考えますか。
よく言われる「大手志向」の考え方について。
「大企業=安定」という考え方は親世代に未だに根強く、息子・娘に名の知れた企業に入って欲しいと要望してくることでしょう。
しかし、仮に大企業に入ったとしても、かつてのような終身雇用は今後難しい状況です。
また、SNSなど情報発信・共有手段の発達は、想像力を欠いた個人が問題行動を発信することもでき、たったひとつの投稿でどんな大企業でも大きなトラブルに発展、業績不振にも繋がります。
スケールの大きい事業に取り組みたいならともかく、「安定を理由に」大企業を選ぶ時代は終わりました。
ちなみに大企業は会社としては大きなスケールの事業をしていますが、社員数・組織も多く、同期もたくさんいるため、最初に与えてもらえる自分の仕事は末端の小さな作業になりがる傾向があります。必ずしも自分に大きな仕事ができるわけではないということです。
自身の個性を活かし、早期に成長したいと望む人ほど規模の小さ目な企業を選んだほうが自身の志向とマッチングしやすくなります。
「会社の安定」と「自身の安定」は違う。
仮に会社が存続したとしても、あなたが成長できるか、雇用され続けるかどうかとは別なのです。
「自分のカンバン」を確立する
このように、大手企業への就職=安定という時代は既に終わりました。
これからの時代は「会社のカンバン」は守ってくれず、「自分のカンバン」をいくつ持てるかがカギ。
自分のカンバンを確立できれば、転職時に有利なだけに留まらず、副業や起業と言った様々な形で収入源を確保することも可能になります。
つまり、吸収力が高く、体力もある若いうちにどれだけの人と出会い、経験を積んで実績を出し、どれだけのスキルを身につけられるかが勝負。それが20代のキャリア形成において重要なことであり、就職活動で選択する1社目がまさにそのキャリア形成のスタートとなるのです。
内定はゴールではない
今回は現代日本の雇用制度状況・将来の年金状況という、現実を踏まえた上での就職活動という視点でまとめてみました。
●年金制度も崩壊寸前。自分で貯めるか稼ぐ手段を確立しなくてはならない。
●自分のカンバンを確立せよ。より多くの経験・スキルを得られる企業を選ぶべき。
就職活動と言えば、内定を取ることをゴールとした短期的過ぎる視点の情報や、小手先の指導・アドバイスが横行していますが、内定はゴールではありません。
就活は社会人としてのスタートのプロセスに過ぎません。
目標として置く軸は自身の未来を見据えて。