
「うつくしいものを 美しいと思える あなたのこころが うつくしい」
詩人の相田みつをさんが、こんな言葉を残しています。
思うに、僕らはそれぞれの心に「うつくしいもの」を持っているはずです。
将来の夢であったり、大切な人であったり、曲げることのできない信念であったり……。
しかし、集団の雰囲気や人間関係の難しさから、止むを得ず自分に気持ちに嘘をついてしまう人もいるのではないでしょうか。
今回、ポルトガルにてお話を伺った安藤 助徳(ひろのり)さんは、ただただ自分の心に正直に生きてきた方です。
彼の選択の1つ1つが、あなたの将来にヒントを与えてくれるかもしれません。
15歳で単身ポルトガルへ
安藤さんは現在ポルトガルのリスボンにて、翻訳・通訳、ガイド、各種コーディネートの仕事をしています。
ポルトガルにやってきたのは中学を卒業した15歳の頃。留学制度を利用するのでもなく、単身で現地の高校に入学しました。
海外の学校への進学を考え始めたのは、なんと小学生の頃。当時から学校の先生や友人たちとの関係性に息苦しさを感じていたそうです。
「これと決め付けて、押し付けるような雰囲気が好きになれなくて。」
そんな中興味を持ったのは、家族と訪ねた経験のあったヨーロッパ。そこに行けば、自分の意思を制限されることなく、素直に生きられると思えたのです。
現地での学生生活は、もちろん楽ではありませんでした。
周りは自分以外の全員がポルトガル人。人種も違えば、言葉も通じません。入学したての頃は同級生にからかわれることも多く、辛い思いもしたのだとか。
それでも「ここまで来たからには逃げるわけにはいかない」と、1人ずつ声をかけていくことで、徐々に環境に馴染んでいきました。
慣れてしまったならば、現地での学生生活はやはり自分の肌に合ったもの。
授業内容に関して、「今日やることは自分たちで決めなさい!」と先生に指示されることも日常です。
一人一人の意志が当たり前のように尊重される雰囲気は、日本の学校ではなかなか感じられなかったものでした。
ポルトガルに恩返しをしていきたい
写真上:ポルトガル リスボンの街並み
ポルトガルで学生生活を過ごした後は、日本に帰国するでもなく、現地でフリーランスとして働き始めました。
現在までに10年以上、ポルトガルや隣国のスペインで生活し、レストラン、翻訳、通訳、ガイド、コーディネート等、様々な職業を経験したそうです。
どれも「為せば成る」の精神で営業を繰り返し、ゼロから顧客を獲得していきました。
「本当にたくさんの人にお世話になって、ここまでやってこれました。だからこそ、少しでもお返しできるように、どうやって恩返しできるのかを模索しているところです。」
安藤さんの言葉の1つ1つに、心の奥底から自分を突き動すストレートな思いが伝わってきます。
きれいなものをきれいと言えるように
安藤さんに今後の展望を尋ねると、「きれいなものを、きれいと言えるようでありたい」と話してくれました。
他人の価値観を否定することなく、誰に何を言われるでもなく、ただただ自分の意志に素直に生きていくこと。
この当たり前こそが、安藤さん自身の理想であり、安藤さんが理想とする若者の姿です。
日本とポルトガルの2カ国で生活してきて感じた文化の違い、両者の良いところに悪いところ。
それぞれを共有していく橋渡し役として、安藤さんはこれからもポルトガルで活動を続けていきます。