カッとなって飛び出したって、それでも前向きになれる魔法の時間

同棲中のパートナーと喧嘩した。
原因は些細なことだけど「お前と話すのが面倒くさい」なんて。悲しくて、悔しくて必要とされてないのだと思い込む。

フラッとスマホとお財布だけを持って家を出た。行くところなんてないのに。
普段SNSで仲良しアピールしてたから、友達に相談するのも気がひける。こんな時になりふり構わずに飛び込める親友がいたらと想像しながら、沈み始めた太陽を背に歩を進める。

気がつくとそびえ立つビルの真ん中に立っていた。
なんとなく見上げた空は透き通った水色とピンクが混ざり、その隣で街の光もキラキラと輝く。さっきまでの絶望とは裏腹に私はなんだか冒険に出た主人公のように小さなときめきを感じ始めていたのだ。

ぶっちゃけ寝る場所なんて、お金があれば手に入る。どうせだったらいつもは行かないところに行ってみよう。スマホで近くの宿泊施設を検索したら、当日でも泊まれるところは結構あるもので、目移りする中で目に止まったタイトルがあった。

『レディースプラン 頑張る貴方に・・・』

私のことだ。そう思ったとたんに指は予約のボタンを押していた。

ホテルの近くのコンビニでスパークリングワインとローストビーフ、そして大好きなカマンベールチーズを手に入れて、小さなワクワクと一緒にホテルのフロントにたどり着く。

これから私はどんな空間で過ごせるのかな。
ドアを開けるとそこには私だけに用意された自由な空間が広がっていた。
入ってすぐの空間、バスルーム、クローゼット、そしてベッドルーム・・・。

早速、さっき手に入れたアイテムを広げて私の宴が始まる。

自由な時間を手に入れた私はきっと明日の朝にはちょっとやり過ぎたかなと反省しながら自分の家に帰るのだろう。今はもう少しこの時間を堪能しようと思う。