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20歳でブランド立ち上げ!ブライダルの常識を変える―佐久間一栄

ドレスブランドの立ち上げをはじめ、ブライダルのヘアメイクアップアーティスト、専門学校の講師も務めている佐久間一栄(かずえ)さん。さらには一児の母であり、第二子も妊娠中です。

「確かに休みは全然ないんで周りからは心配されますけど、毎日が楽しいからそれでいいと思うんですよね」

キラキラと輝きを放ちながら仕事場も家庭も明るくする、佐久間さんとはどのような人物なのでしょうか。

「しきたり」への違和感

―― 佐久間さんはもともとブランドを立ち上げることが目標だったのですか?

「いえ、私はヘアメイクアップアーティスト志望で。ヘアメイクの専門学校を卒業して、ブライダル企業のグローヴエンターテイメント株式会社に入社しました。でもこの会社に入ったとき、ブライダルにしきたりがあることを感じたんですよね。例えば花嫁はダークな服を着ない、とか、肌を見せすぎちゃダメ、とか。そういう暗黙の了解があることに違和感を持ったんです。もっと自分がしたいなと思うスタイル、それをゲストみんなでシェアできる結婚式を提案したいと思ったんですよね。それを上司や社長に相談したら『じゃあ、佐久間さんがブランドをつくったらいいじゃん!』と言ってくれて。それが20歳のときでした。ヘアメイクとドレス、二足の草鞋を履くような形になりました

―― 20歳でブランドを作ってしまうなんてすごいですね!

「そのとき立ち上げたのが『JE APPARENCE』 というドレスブランドです。フランス語で『わたしをみて!』という意味で、自分を表現するということが自分のブランドの核になるものでした。ドレスは下着みたいなさらっとしたものから、黒いドレス、編み上げになってるものまで。華やかにみえるものを提案していましたね」

―― 従来の結婚式では考えられないことですよね……!

「『JE APPARENCE』は、ドレスショップ内でいちばん人気の商品になることもありました。『JE APPARENCE』のドレスを使った単独ドレスショーも開くことができました。そのようにして8年間たくさんの結婚式を彩ってきたのですが、私自身が25歳で結婚、27歳で出産を経験して、自分の価値観が少しづつ変わっていくことに気づいたんです」

「着飾る」から「引き出す」へ

―― 家族ができて、価値観はどのように変わっていったのですか?

「子どもを産むと、自分より大切なものができます。でもその分、自分に使える時間、お金、働ける時間も減りますよね。そこで、大切なのは『ありのままの自分、ナチュラルでいること』だと思ったのです。今までは華やかなファッションが楽しいと感じていましたが、できる範囲で、自身のスタイルに合わせてお洒落をする。ブランドコンセプトも同時に考え直しました。そこで新たなブランドを立ち上げることになったのです」

―― 「無理をしない」がコンセプトのブランドってどのようなものなのでしょうか。

「新しいブランドは『Je:Libitum』と名付けました。『思いのまま、自由に』という意味です。限られた時間のなかで、自分が大切にしたいもの、ありのままのものを生かすというのがテーマです。女性にはみな美しさが眠っていると思っていて。その人の魅力を引き出すことが新しいファッションの形になると思いました」

―― 具体的にどのようなアイテムを取り揃えているのですか?

「例えば、デイリーユースも可能な服やアクセサリーの提案もしています。肌を見せるのではなく覗かせることを意識したドレスであったりとか。最近の結婚式は敷居が高くて実施率が下がってきているんです。日常と非日常(結婚式)の垣根を少なくして、無理をしない結婚式をしてもらうことが目標ですね」

髪形が決まらないと学校に行かなかった

―― そもそも佐久間さんはどうしてブライダルの道を志したのですか?

「まず、ヘアメイクが小学生のときからずっと好きで。自分の髪をまずはアレンジしていました。髪形が決まらないと学校を休むこともありました(笑)。友達の髪を結んで喜ばせることも好きで、自然とヘアメイクの専門学校に進学しました。その際に様々な業界をみていくなかで、ブライダルをやろうと思ったんです」

―― 佐久間さんが思うブライダルの魅力を教えてください。

「ブライダルというのは、一生に一度のヘアメイクです。そんなスペシャルな仕事は他にない!と思っています。就職先を探していた時、自社のホームページに『感動とは、お客様の期待を超えた時に生まれるもの』と書いてあって、その言葉にピン!ときたので、就職先はグローヴエンターテイメント一択でした。グローヴエンターテイメントはスペシャリストが全員在籍している会社です。プランナーも、花屋も、料理人もすべて自社のチームです。ここでならお客さまが思い描く結婚式を表現できると思いましたね」

仕事と家庭、両方に救われる

―― 佐久間さんは子育てをしながら仕事をされていますが、仕事と家庭はどのように両立しているのですか?

「旦那は単身赴任なので、月に一度ほどしか帰ってきません。18時には保育園に迎えに行かなければならないので、時短で働かせてもらっています。日曜日は保育園が休みなので、私も仕事を休ませてもらっています。結婚式というのは土日が大変なので、会社には大きな迷惑をかけていると思います。だからこそ仕事への向き合い方も変わっていきました」

―― 仕事への向きあい方というのは、先ほどおっしゃっていた価値観の変化というのにも関係があるのでしょうか。

「出産して我が子に会えた時、自分よりも大切なものってあるんだなと思いました。でも、仕事は本当に大切で、お客さまに喜んでもらえることが私の幸せです。今まで通りフルタイムで働けないからこそ、自分がつくるもの、発信するものがこの会社にとって必要だなと思ってもらえる人材にならなければと改めて思ったんです」

―― 仕事と家庭が双方にプラスの影響がある印象を受けました!

「仕事のつかれは家族に癒してもらえます。子育てしながらずっと家にいるのはたぶん私にはできないことで。自分の存在意義は社会で感じられると思っています。家庭に救われている部分、仕事に救われている部分、両方がありますね。周りからは忙しそうだね、と心配されることも多々ありますが、このスタイルだからこそ毎日が楽しいんです」

今回はヘアメイクアップアーティスト、ドレスブランドのプロデューサー、専門学校講師、さらには母親の顔も持つ佐久間さんにお話を伺いました。

仕事と家庭の両立、新しいことに立ち向かう挑戦心、そしてなによりお客さまを幸せにしたいという気持ちがひしひしと伝わってくる輝かしい女性でした。

(撮影協力:ドレスショップエドゥ)

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マコ