キャンプはいっそ、ない方がいい!?東京都キャンプ連盟副会長―伊藤光太郎

昨年開催した「マカラボ新人賞」。
今回は準大賞を受賞した水野愛梨さん(早稲田大学一年生)の記事を掲載します。

今回お話を伺ったのは東京都キャンプ連盟副会長である伊藤光太郎さん。
突然、携わることになったキャンプの世界。キャンプの魅力とは何なのか、最終的にはキャンプをなくしたいと思う、その理由とは?

人に騙されて、プロになる

―― まず、野外活動を本格的に始めようと思ったきっかけを教えてください。

人に騙されたんです(笑)。知り合いに「暇か?」って聞かれて、暇と答えたらキャンプの説明会に行くことになって、そのまま一泊するという流れでした。そこから「面白いな」と思い、頻繁に行くようになりました。結構、人に騙されていつのまにかプロになる、って人は多いと思いますよ。

―― キャンプを主催する団体ってほかにも多くあると思うんですが、伊藤さん自身が大切にしていることはあるのですか?

他と比べるとうちは「完結型」ですね。ほかの団体は交通とかもバスを借りなきゃいけなかったりするんですけど、うちは全部自分たちで運営しています。電気も発電機でつくったりしているんですよ!

―― これまで自然に触れて関わってきた中で、印象に残ることはありましたか?

印象に残っているのはキャンプ中の出来事ではなく、キャンプにまつわるエピソードですかね。例えば、小さいころにキャンプに来てた子が大きくなってもう一回キャンプ場に来ることになったのですが、その時はヤクザから逃げるためにキャンプ場に来た、という話とか(笑)。

―― そんな中でも特徴的だったキャンプの一例はありますか。

過去には物語風キャンプというのがありましたね。最初からストーリーを作っていき、子どもたちがその世界に入り込んで楽しめるような工夫があるんです。僕は捕まった設定だったのでずっとキャンプ場から離れた谷底で三日間を過ごしていました。
その時は物語を最初に決めてやってたけど、キャンプをやりながら物語にしていく場合もあります。物語があると、子どもたちがより自然を満喫できるように思います。でも、こういうキャンプ活動をしている人たちの中には、勘違いをしている人もいるので。

―― どんな勘違いですか?

子どもは自然体験がないとまともに育たない、と思っている人がいます。そんなことは全くないんですよ。大事なのは何か夢中になれるものがあるかどうかということ。そこを勘違いしてはいけないと思うのです。そもそも子どもは家で育つものだし、キャンプに行って劇的に成長してるというよりは、家で成長して得てきたものをキャンプで発揮している感じですね。

―― 自然を特別と捉えてはいけないということでしょうか。

はい、自然とかキャンプ場は舞台みたいなものですから。舞台よりも主役の子どもたちのほうが大切じゃないですか。そもそも何をもって自然というのかなんて誰にも説明できないと思いますし。

 

雨だから、できることがある

―― 先ほど「キャンプでは困るようなこともいっぱいある」とおっしゃっていましたが、例えばどのようなことなのでしょうか。

川の水が全部なくなったときがあったんですよ(笑)。まあそういう時は、掘れば水は出てくるんですけどね。

―― 困った事態にも素早く対応していくためにはどうしたら良いのでしょうか?

常に多くのプランを考えながら行動することですね。川遊びをする予定だったとしても、雨が降ったらプランが全部ダメになる、ということではないんです。雨が降っていたとして、雨以外にも気温とか湿度とか人数とかでできることは変わってきますよね。常に考えていれば準備も早いです。それに、必ずしも雨が残念賞というわけではないですし。

―― 雨ってキャンプをするのには良いことがないように思うのですが。

雨の日だってできることはいっぱいあるわけで。子どもたちの印象には残るわけですし。「あいにくの雨ですが」なんて言い方もありますが、僕は違うと思っていて。「雨だから」できることも、数えきれないほどあるんですよ。「よかったね、雨が降って。これができたね」ということをやりたいと思っています。

―― 最後に、伊藤さんにとって「キャンプ」とはどのような存在ですか?

無くてもいい存在。いっそなくなるべきじゃないかと思うときがあります。なんでキャンプがあるかっていうと、世の中に欠けてるものがあるわけで。
そういうものを集めてキャンプっていう場を作ってるような感じがするんですよね。例えば、障害を持ってる子が持ってない子と普通に暮らすこと。これは普通のことだけど、今の世の中にはなかったりします。子どもが自分の食べ物を自分で作ったりすることも。
世の中に無いものがキャンプにはあるのです。世の中がもっといい方向に変わっていけば、キャンプなんていつか必要なくなると思うんですよね。

ライター:水野愛梨さん
インタビュー対象者:伊藤光太郎さん