心に刺さる歌を歌う。シンガーソングライターの爽(さわ)とは?

北海道を中心に全国的に活動している爽さん。彼女はなぜ歌うのか。 そこには沢山の苦しみ、苦悩、勇気、喜びといった過去が存在した。 「経験を歌っているから、刺さる」 そんな歌を届ける爽さんに現役大学生の筆者がインタビューさせていただきました。 “どうやって最初の一歩を踏み出すか” “就職活動をしている人へのアドバイス”など、“勇気”の湧くお話を聞けました。学生の方々にもぜひ読んでいただきたいです。

 

−まずは爽さんが音楽を始めたきっかけについて聞かせてください。

母が学生時代に学校祭でバンドを組んだりとか音楽の発表するみたいなことをしていたらしいんです。それで3歳位のときに母が作った曲をおばあちゃん家のピアノで弾いてくれたときに、その曲の雰囲気が子供ながらに「超かっこいい!」みたいに思って(笑)そこから「ピアノやりたい!」って感じになってピアノを習い始めたのが1番最初のきっかけですね。その前からディズニーが大好きで、小さい頃は東京のほうに住んでいたので母と2人でディズニーランドによく行っていました。ミュージカルというか音楽のある中でのエンターテイメントというものが大好きでした。 母のピアノがかっこいいって思ったのがきっかけで、自分もやる側をやってみたいという気持ちが出てきたんだと思います。

 

−爽として活動を始めたのはいつですか?

高校三年生の秋くらいです。当時は大学受験の疲れやストレスのはけ口が、家でピアノを弾きながら歌うことでした。高校でバンドを組んでて、オリジナルを作るブームがバンドの子たちで流行っていて、私のバンドも作ることになったんですけど、なぜか私に作って!みたいに丸投げされたんです(笑)それで作ったのが人前でやった初めてのオリジナル曲ですね。その後受験期になりバンドもやりたかったんですけど、みんな進路があるので音楽をやりたい!という方向を向いてる人も余りいなかったので、しょうがなく、一人でできるピアノで弾き語りを始めたっていうのが最初ですね。

 

−音楽を作るときに1番大切にしていることはなんですか?

どんな層でもいいからこの曲はこの層に刺さるだろうなっていうのは考えて作っていますね。例えば自分の経験だけを綴ったりとか、価値観の主張だけをすることもできると思うんですけど、必ずそれを一歩引いて遠くから見たときに、「これを他の人が聞いても同じような気持ちになるのかな?」とか、「みんなに共感を生めるかな?」っていうのは考えてますね。音の部分でも言葉の部分でもそうですし。

 

−どんな層にも共感してもらえるかを考えることを大切にしているんですね。

はい。そうじゃないと家で1人でやってるだけでいいじゃんっていう話になると思うんです。自分を認めて欲しいっていう発信をするのも1つ理由としてあるけど、社会貢献というか、なにかプラスのことだったり、エネルギーを生み出させるようなことをやらないとお金をとってはいけないと思っていますし。色んな人に協力してもらってるんだったらどんな職業でもそうですけど、最低限のプライドを持ってやるべきなのかなって思います。

 

−誰かのパワー・エネルギーになるような音楽を作ろうと思ったきっかけはありますか?

もともと自分が詞を書き始めたのが中学生の時だったんですけど、そのときに適応障害っていう新しい環境に馴染むのがすごく苦手、みたいな子供だったんです。中学受験をして友達が誰もいないところに毎日2時間半かけて通学をして、さらに受験をしているから周りは高学歴や才能が素晴らしい人達という環境の中で自分を見失ってしまったときがあり、1年間くらい学校をお休みしていたんです。そのときに色んな人が言葉をかけてくれても自分の心がなかなか回復しないという状況の時に、唯一垣根なく入ってきてくれて、色んな感情を与えてくれて希望を持てるようになったのが音楽だったんです。それを私もやる側になったら、そういう風に包んであげたい、何か影響を与えられるようにしたい、というのはきっかけとしてありますね。

 

 

−音楽でこれから先、生きていこうと思ったきっかけやポイントはなんですか?

そうですね。音楽の道に進んで行こうと思ったのは、大学1年生のときに受けたオーディションがけっこう大規模なものだったんですけど、札幌の大会と東日本の大会で両方ともグランプリをとれて、最後の全国大会のようなものに進んでいって、そこで初めて音楽の会社と契約をさせてもらったんです。その体験があって、全然知らない人からも「良いね」って言ってもらったりとか、評価をしてくれるんだ、ってことを知ったときに、頑張ってみたい!っていうのが最初に生まれたものですね。 そこから本当に職業として腹を括ってミュージシャンとして生きていこうって決めたのはここ2年くらいです。私たぶんライブとか始めてもう6年くらい経ったんですけど、その中で一回本当に人に聞かせられないぐらい喉がダメになったときがあって。それで半年くらいライブのお休みを頂いていたんです。それでライブをやらなくなって普通の生活になったときに自分の心がしんどくて。そこで自分は表現したり歌ったりすることが本当に好きだったんだなっていうのを気付くことができたんです。そこから復帰して、1年くらい色んな場所で音楽をやらせてもらったときに、もう自分の中に逃げ道を作ったりせずに100%本気でいこうと思い、それから本気でミュージシャンになろうって決意しました。

−「好きなことを仕事にする」ということについてどう思われますか?

好きなことを仕事にすることはすごく良いことだと思います。好きっていうのは人に強制されて出てくる感情ではなく、自分で見出す感情でとてもエネルギッシュな感情です。好きなことを仕事にすることで、より頑張れる、打ち込める、っていう前向きなパワーになるので個人的にはすごく良いと思っています。でも好きなことを仕事にしても大変なことはあります。好きだったことも、飛び込んでみたら自分が驚くほど悲しいことや辛いこと、乗り越えなきゃいけない壁もどんどん出てくるんです。そのギャップがあるってことを心積りしておいた方が働きやすいというのはあるかもしれないですね。

 

−それでも音楽を仕事にしていけるのは本当に音楽が好きだと言うことをわかっているからですか?

そうですね。好きだというのもあるし、同じくらい大きくあるのは、本当に周りの人が応援してくれてるからというのがありますね。やっぱり自分の気持ちだけでは強く言えないときってみんな好きなことをやっていてもあると思うんですけど、そういう気持ちを持ってるとき、支えてくれる仲間や聞きに来てくれるリスナーの方の本当に些細な応援の言葉もそうですし、自分を通して夢を持ってくれているというのがすごくわかるから、それを見ているとその人たちの分まで頑張りたいと思えます。

 

−最初の一歩を踏み出す勇気はどうやって生まれると思いますか?

些細な一歩を重ねていく方が進みやすくなると思います。実は私が最初に作った曲を聞かせたのはクラスメイトの仲の良い女の子1人だったんです。そういう近いところから少しずつ言っていくっていうのは良いかもしれないです。小さな成功体験を自分で作ってあげると色んなことがしやすくなる気がしますね。

 

−音楽を通してこれから伝えていきたいことはどんなことですか?

そうですね。自分の実体験を曲に書いているっていう話をさっきもしたんですけど、私は、自分自身が勇気を持って決断した一つ一つのことでほんとに幸せな生活を送れているな、と思っているんです。きいてくれている人や世の中の人たちにも、自分の人生をより良くするために自分でどんどん作っていくということをトライしてもらいたいなと思います。なんやかんや諦めちゃう人が多いと思うんです。もちろん諦める選択肢が必ずしも悪いわけじゃないけど、いろんな事柄とか周りの言動に影響されてしまって自分を押さえつけるのではなく、主張していくというか。そういうマインドが伝染していって、世の中全体がみんな自分のやりたいことや打ち込める熱いものに対して頑張っていて、お互いに尊敬し合っていてっていうような空気になっていったら良いなって思っていますね。

 

−もし音楽がなかったら何をしていたと思いますか?

何かを教える立場になっていたかもしれないなと思います。私は学校の先生に恵まれていて、凄く良い教師の人たちに会うことができたんです。自分は塾の先生とか家庭教師をやっていたことがあり、単に勉強を教えるっていうのもあるんですけど、先を生きてきて経験のある人間は、まだまだ若い子たちが悩んでいることに対して自分なりのアドバイスを必ず与えられると思うんです。さっき言っていたことにも近いんですけど、関わった人みんなに幸せになっていってほしい、みたいな気持ちがあるんです。自分の経験を生かして伝えていく作業は音楽じゃなくてもしていたのかなと思いますね。

 

−影響力のあることをしたいということでしょうか?

そうですね。自分のやり方を浸透させていきたいというよりかは、私みたいにがむしゃらにやっていたら拓けるものがあるよって見せてあげたいという感じです。どういう方向にみんなが進んで行っても必ず幸せはあると思うので「よし!あの人も何か頑張ってるから私もこれ頑張ってみよう!」みたいな感じで影響を与えられたら良いなと思っています。

 

−これから就職する学生や、いま学生の人にこれからの人生についてのアドバイスがあればお願いします。

自分も大事にしている考え方の1つなんですけど、上手くいかなかったときとか、失敗をしてしまったとき、思い描いていた理想とのギャップがあるときに、それが全てじゃないっていうのを考えるようにすると良いと思います。これはアメリカに行ったときも強く感じたんですが、例えばみんながAって言っていて自分だけがBって思っている。けれどみんながAって言っていたら正解はAだって自然と思っちゃうんです。でも一歩外へ出てみたり見る場所を変えてみると、実はそのAって言っている人たちは少なかったりするんです。こういうのって周りに囚われずに考えていないと気付けない部分だと思うんです。1個やってダメだったときに落ち込んで「私のやり方はダメだったんだ」って思うのではなく、何がダメだったのかを考えて反省して「じゃあ次はこれでやってみよう!」っていうトライ&エラーを繰り返したほうが自分の導きたい結果により近づけると思います。これは本当に忘れてはならないことだと思います。就職の話で言えば、例えば就職した会社が合わなくて精神的に辛くなってしまうということがあるかもしれません。でもその会社が全てじゃないし、他にもたくさん選択肢があるし、自分の納得のいく選択肢が無いのだったら、自分が新しい選択肢を作ってあげればいいし。なんかそれは諦めないでやったらいいんじゃないかなって思いますね。

 

 

爽(さわ)

 

Twitter : https://twitter.com/pompom0625

-就カフェ × マカラボ インターンシップ

この度はマカラボでのインタビューという貴重な経験をさせていただけたことに心から感謝しています。今回のインターンの中で1つ大切なことに気づきました。 それは「過去から学ぶ」ということです。爽さんが学校に行けなかった時期に唯一垣根なく心に入ってきて希望を与えてくれたのが音楽で、それが爽さんが音楽で価値を提供しようと思った大きなきっかけでした。このようなストーリーは規模は違えど、誰にでも存在するのではないでしょうか。重要なのは過去を見つめ、自分の感情を大きく動かしたストーリーを見つけ、自分がどのような出来事、モノ、コトに心を突き動かされるかを深めることだと思います。自分はどんなことに救われたのか、どんなことに喜びを感じたのかを過去の人生の中のストーリーから見つけられれば、“自分はどんなことに喜びを感じるのか” “自分は何を価値としてヒトに提供したいのか”といったことに気づけます。爽さんが過去の出来事から学んだように、私もインタビューする中で重要なことに気づくこともありました。ぜひ自分自身の過去のストーリーから圧倒的な価値観を見出し、ヒトと話すことにより貴重な人生のヒントをもぎ取ってほしいと思います。最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

筆者:北岡 佑斗

撮影:宮坂 るみ子