インタビュー

【前編】芸術の力で地方再生を―フラワーアーティスト 野咲シンジ

札幌の歓楽街すすきのを見下ろすバー「Music Lounge Brave+」。

店主であるピアニストの田中K助が今回カウンターにお招きしたのは、フラワーアーティストの野咲シンジさん。北海道出身ながら東京の一流ホテルでお花の修行を積んで独立した「お花のプロフェッショナル」です。

「芸術の力で地方再生を」という思いから、失われゆく自然や廃墟でご自身の作品と音楽、ダンス等の様々な芸術を融合させて空間を演出する「レナートプロジェクト」を主催する野咲さんの人生、そして「文化人 野咲シンジ」が考えるカルチャーについて語りました。

初見で人を魅了する力、魅了されたと伝える力。

ようこそMusic Lounge Brave+ へ。

 

まあ、何度も来てますけどね。何せK助さんとの出会いがここですから(笑)。

 

そうですね。たしか、野咲さんの職業がフラワーアーティストだとお聞きして、作品の写真を見せて頂いたんですよね。

 

そうです。それをK助さんに気に入って頂いて。

 

直後に私が、その写真をスマートフォンの待ち受け画像にするという(笑)。それがこちらの作品ですね。

いまだに待ち受けはこの写真のままです。

 

ありがとうございます。目の前で待ち受け画像を変えられた時、ああ、この人の言っていることは社交辞令じゃないなって思いましたね。

 

正直なところ、一目見てファンになってしまったことを心からお伝えしたかったので、社交辞令じゃないですよっていうアピールもあります(笑)。あとは初見で人を惹きつける作品をきちんと持っていらっしゃることに対してのリスペクトですね。

 

それを言ったらK助さんのピアノもですよ。K助さんが待ち受け画像を変更した数分後に、今度は僕がK助さんのピアノに初見で惚れて、うちの社長に「K助さんと仕事したいです!」って言いましたからね。

 

それでステージが終わった直後に、様々なアーティストがお花や書道家とコラボレーションしている動画を私に見せて来たんですよね(笑)。

 

「あなたと一緒にこういうことがやりたいんです!」って言って。真剣な思いを伝えたかったんですよね。それこそ社交辞令じゃないっていうアピールです。

 

嬉しかったですね。お互い、ふたつ返事で一緒に仕事することが決まりましたからね。そこから生まれたのが、現在稼働している「レナート(再生)プロジェクト」ですから。

恋愛シミュレーションゲームが花屋を志すきっかけに

お花って、あくまで我々素人のイメージですけど、お祝いだとか、空間を演出したりだとか、非常にポジティブなイメージがありますね。フラワーアーティストとなるとどんな職業なのかな、と。

そうですよね。まあ、広義で言うところのお花屋さんですね(笑)。

 

せっかくなので、野咲さんの経歴をお聞きしたいのですが、どんな学生時代を過ごされて、フラワーアーティストを目指すようになったのですか?

 

……まあ、中学時代は何も考えていなかったのですが。

 

でしょうね(笑)。

 

勉強というものを一切して来なかった学生時代でして、家で1人でゲームばっかりしてましたね。高校2年生で進路をどうするかという話になった時に、…花屋さんになった本当のきっかけというのが、…これ、あんまり出したくないんだよなぁ(笑)

 

え、なんですか?

 

……あの、「ときメモ」分かります?

 

ああ、ゲームの「ときめきメモリアル(※)」ですよね。もちろん分かります。っていうか大好きですよ。


※ときめきメモリアル…略称「ときメモ」。1994年にコナミから発売された恋愛シミュレーションゲーム。現在は4作目まで発売されている。

まあ、当時はだいぶオタク路線なゲームでしたけど、今となっては一般的なゲームですよね。え、その「ときメモ」がフラワーアーティストを目指すきっかけなんですか?

 

当時、友人から「ときメモ3」を借りて朝までプレイしていたのですが、途中から「女の子を落とす」という本来の目的と違うことがしたくなりまして、勉強とか運動等のアバターのパラメーターを限界まで上げるという妙な楽しみ方をしていたんです。

 

……ほう。

 

そして休日には部屋で植物を育てていたんです。ゲームの中でですよ。そうしたらアバターの部屋の中が観葉植物で溢れてしまいまして。

 

……はあ。

 

そうこうしているうちに「ときメモ」の中での進路相談で「花屋になる」という項目が出て来まして。花屋さんって女性のイメージが強いですけど、男性で花をやっているってカッコいいんじゃないかと思いまして。

 

……なるほど(笑)。

 

で、「ときメモ」の進路相談の次の日、担任の先生との進路相談で「俺、花屋になるわ」と。

 

嘘でしょ!?(爆笑)

まさかの恋愛シミュレーションゲームで進路を決めてしまった野咲シンジさん。

当然その先の人生は挫折の連続でした。次回【中編】では、東京に進出した野咲さんが味わった苦悩と、その中で得た貴重な人生経験をお聞きします。

(撮影:ヒロカワイ)

Music Lounge Brave+
HP: https://ml-brave.com/
住所:札幌市中央区南5条西4丁目バッカスビル9F
アクセス:南北線「すすきの駅」から徒歩1分
TEL:011-252-9460
営業時間:Open 20:00~3:00
休日:日・祝
STAGE TIME:21:30 / 23:00 各30分程度
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田中K助