インタビュー

【後編】自分らしく「働く」をデザインする―パラレルワーカー佐藤彰悟さん

北海道のパラレルワーカーとして本業とさまざまな複業をこなす佐藤さん。前編ではこれまでの本業の経歴についてお話を聞いてきました。後編では佐藤さんの複業と仕事観について掘り下げていきます。

本質的に「働く」を考える機会を

主な複業として、就活・キャリア・自分らしく働くを考えるコミュニティ「就カフェ」の主宰である佐藤さん。そもそもどうして「就カフェ」をはじめようと考えたのでしょうか。

▼月に一度開催される就カフェ定例会。2018年度卒の学生に向けて(本人提供)

「本業で採用を続けていて、純粋にいまの新卒採用の仕組みがおかしいと感じました。一言でいうと大手人材メディアが儲けやすい仕組みなんです。そんな一大ビジネスに企業も学生も乗って動いてるということに気がつきました。新卒一括採用は大手企業の都合に合わせた仕組みになっています。4月1日に一気に新卒者を入社させてマニュアルで教育したら楽なんですよ。でもそれって企業の都合じゃないですか。海外に新卒採用はないし、総じて日本の雇用状況に違和感を覚えました」

大手人材メディアに企業情報を載せるには莫大な掲載料がかかります。優良な中小企業で掲載にお金をかけられない社長が悩んでる姿も目にしてきたといいます。

「このままじゃ地方の中小企業は意欲のある学生に出会えないし、学生も地元に良い中小企業があったとしても出会うことができません。それでも新卒採用はなくならないし、ネットには嘘の情報ばかり書かれているし。そこで自分に何かできないかと思ったんです。小さなことですが、学生側に本質的な就職活動を伝えたり、実際に人事が思っていることを伝えたいと思ったのがきっかけですね」

▼厚真町役場にて。まちの魅力を掘り起こすインターンシップを実施(本人提供)

「就カフェ」は今年で3年目を迎えます。今後「就カフェ」はこれまで通りの形態を保ちつつメディア化。情報発信に力を入れるといいます。

「2年目まではリアルな組織で伝えることにこだわっていました。1年目は学生が40人、2年目は120人まで増えました。でもひとりひとりとの関わりが薄くなり、ロイヤリティも低くなったのが現実です。でもより広く必要な人に価値観を伝えたいと考えた時に、リアルな形態にこだわらなくていいし、対象者も広げていいと思ったんです。それでメディアという形を取ることにしました」

「就カフェ」の他にもライターなどさまざまな複業を兼任している佐藤さん。パラレルワーカーとして働く佐藤さんの仕事観について聞きました。

「終身雇用制度はほぼ崩壊しています。ずっと同じ会社に勤めるのは難しい世の中、会社は守ってくれませんし、年金も不安定です。これからの時代はどんな会社に所属しているかよりも、どんな自分になるか『自分の看板』が必要であると考えます」

双方にとってプラスになる。だから「複業」

「パラレルワーカーが外してはならないことがあると思っていて。本業というものがあって複業があるなら、複業が本業に何かしらプラスの影響を与えるものでなければいけません。全く関係ないことをやるというのは違うと思います。複業をやる上で、必ず本業の会社の理解が必要なんです。だから理解してくれたことに対しての恩返しとして、本業のプラスになることをしようと思っています」

ここまで「複業」と表記してきましたが「副業」という表現に馴染みのある方も多いはず。しかし「副業」と表さないのには理由があると言います。

「『副業』と聞くと、業務時間以外にちょっとだけ仕事をやるというイメージがあるじゃないですか。先ほど言ったように複業が本業にプラスに働くことは前提ですが、その逆ももちろんあるんです。複数の仕事が作用しあって成果が生まれる。だから『複業』と表記しているんです」

自分自身が複数の仕事をもって働くことで、実践者として背中を見せていきたいと話す佐藤さん。

「パラレルワークはローカルの新しい働き方だと思っています。地方は首都圏に比べ給与水準が低く働き口も少ない。だからこそパラレルワーカーが増えていくべきだと考えています」

今回は北海道でパラレルワーカーとして働く佐藤彰悟さんにお話を聞いてきました。

佐藤さんは本メディア「マカラボ」のライターでもあります。社会に出る前に知っておきたい「働く」ということが現役人事目線で綴られています。(ショーゴさんの記事一覧はこちら。)

今後働き方はますます多様化していきます。必ずしも仕事をひとつに絞る必要はなく、いくつかの仕事を組み合わせてキャリアプランを考えるのも選択のひとつとなりそうです。

(撮影:渡邊和樹/撮影協力:グローヴ ウィズ アクアスタイル

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マコ