インタビュー

秋田のホームレス大学生は今―「アキコネ2017」代表 澤口駿亮さん

「ホームレス大学生」が秋田にいる。

そんな噂を聞きつけたのが去年、実際にホームレス時代の彼に出会った私は考え方の深さや内に秘めた行動力に度肝を抜かれることとなりました。

秋田大学4年生の澤口駿亮さん(22)は現在、秋田県を活性化するべくさまざまなアクションを起こしています。直近のものだと「アキコネ2017」が7月2日(日)に開催されます。

当日の目標動員数は1000人というこのイベント、澤口さんが代表を務めます。

家がなく何のやる気も起きなかった時期から、東京でのインターンシップを通じて働く喜びを知り、現在に至るまで。お話を聞いてきました。

ホームレスだった大学生

先月からシェアハウスに住んでるのでいまはホームレスではないという澤口さん。昨年は野宿したり、インターン先の寮に滑り込んだり、友達の家とかいろんな場所を転々としていたのだそう。そもそもどうして自分の家がなくなったのでしょうか。

「2016年4月に休学をすることにしました。休学の理由は、疲れてしまったから。夢も希望もない、ネガティブな休学です。やりたいことが分からなくて疲れていたんです。単純に何もやらない期間を作ろうと思いました」

このまま社会人になるのは怖かったし、逃げたいと思ったのだそう。

「休学するといっても、奨学金ももらえない。どこにいるのかも決めてない。お金を稼ぐ意欲もない。だからホームレスになることを決めました」

とはいっても、もともとシェアリングエコノミーに興味があった澤口さん。家を持たないということがシェアリングエコノミーを実体験できることにつながると考えました。

「これから物を所有する時代じゃなくなります。お金じゃない価値の交換ってどんなものだろう?と単純に興味が湧いたのも理由のひとつです」

▼家がないときご馳走してもらったごはん(本人提供)

きっかけは「稼がなきゃ!」

「半年くらいはただ休んでて、家にこもりたかったけどこもれませんでした。家がないので(笑)。基本はヒモみたいなものです。ただ考えているだけ。これはさすがにまずいと思って、東京に稼ぎに行こうと思いました。でも、一銭もないので渡航費はどうしようかと。そうしたら、たまたま縁があって秋田に遊びに来た人が、明日群馬にいくと。その人について群馬まで行き、さらには東京までたどり着くことができました」

その日は品川のベンチで寝て、仕事を探したという澤口さん。

「そしてお金がないけど品川から恵比寿まで歩いてバーに行きました。いい感じに酔っている人に片っ端から声をかけて、なんと次の日に仕事が決まりました。その仕事を紹介してくれた方は夫婦だったんですけど、ビジネスホテルにも泊まらせてくれて。次の日、その夫婦の奥さんが働く広告代理店を2時間くらい手伝って5000円もらいました」

大事なのは「ありがとう」のバランス

交通費を手に入れることができた澤口さんは、人が集まるだろうと予測し、就活系イベントのトークセッションに参加。懇親会があったので一日分のピザを食べて大学生と知り合いました。

「そのあとまた説明会に参加したんですけど、その説明会はインターンの選考も兼ねられていたんですよね。帰ったらメールが届いてて、まさかの寮がついているところでした。家も手に入るし、たまたまシェアリングエコノミーに関する会社だったという奇跡もあって」

ここから調子が戻ってきたといいます。実際にインターンを始めて、何かを生産している、価値を生み出している感覚が生きている実感に繋がった澤口さん。

「休学してから、ありがとうを言うバランスと言われるバランスが悪かったと気づきました。バランスが悪いと人はダメになるんだと実感しました。小さいけれどありがとうを言われるとやる気がでてくるんですよ」

コミュニティが「当たり前」になるということ

その後東京でのインターンを終え、秋田に戻ってきました。

大学生が秋田の文化に触れ、人と出会うキッカケをつくるというコンセプトのもと行われる「アキコネ2017」の代表を務める澤口さん。「アキコネ2017」とはどのようなものなのでしょうか。

「秋田の学生が学外にでようと思ったときに、きっかけがないんです。それが課題だと思いました。だから学生と外に出るきっかけを作ろうと思ったんです。秋田には学生が9000人います。そのコミュニティの8%以上が参加するものは流行ると聞いたので、来客目標は1000人に設定しました。コミュニティが『当たり前』になるということにこだわりがあって。だから、賛否はどうでもいいんです。みんなが知っているものになればうれしいですね」

Twitterをみると、たくさんの美人な方たちが毎日アキコネ2017までのカウントダウンをしています。なぜ美人さんを起用したのでしょうか?

▼アキコネ2017のカウントダウンを美女たちが行う(本人提供)

「秋田は米とか酒とか、あとは美人が有名ですよね! でもこれをうまく伝えられないなと思っています。自分がいいと思うものはいいと思ってほしいという個人的な思いです。何より、運営側がたのしい(笑)。主催側がいちばん楽しくないと!」

隣の人や、足元に目を向ける

「私の出身は岩手県です。1、2年生のときは海外にばかり目を向けていました。でも、隣の人や、足元に目を向けることが大事だということに気づいたんです。だから周りにも当たり前になっていることに目を向けて欲しいと思っています。いまは秋田の大学生だから、秋田に貢献したいと思います」

インターネットが普及し、若者たちは遠くに目を向けてる昨今。体験したような気になってしまうことが問題だと澤口さんは気づきました。

「こういう時代だからこそ、肌身を現場に投じることが大事だと思っています。それも若いうちにやるというのが重要だと思っています」

ネガティブな気持ちで決断した休学から一転、秋田に新しい価値を生み出している澤口さん。今後の活躍にも期待です。

▼アキコネ2017ミーティングの様子(本人提供)

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マコ